自然の書(時と出会いとユウリの願い)

【時と出会い】


ゲリュス王とリフィル王妃の仲は相変わらず不振でした。隠れて他のケモノを呼び寄せ、リフィル王妃やユウリ達などそっちのけで遊びに遊びふけっていました。

王族足るもの、権力を悪用し、まるで泥沼のような状態に。互いが互いにいいように使われている。

そんな日々が続きながら、リフィル王妃は耐え続け数年。

ユウリは、彼の元に遣いに来た、ある人に凄く引かれるようになっていました、、、、。

彼の名はシンク・セトラ。彼の職業は牧場の管理人でこの日はたまたま、遣いの者が体調を崩してしまい、代わりに彼が届けることになったそうです。

ユウリはそこの牧場のヨーグルトが好きだったので、直接お礼が言えてとてもとても喜びました。それになぜでしょう。ユウリはその者を見て。とても胸が苦しくなりました。

また会いたいと。彼に伝えました。

彼は次期皇帝のお申し付けなら是非ということで喜んで引き受けました。

果たしてこれが偶然だったのか。必然だったのか。

このときは知るよしもなかったでしょう。

シンク「では家族が待っているので、私はこれで失礼しますね。」

ユウリ「あ、。はい…。ありがとうございました。」

ユウリは彼をお見送りする際、少し哀しそうな顔をしていました。家族がいたことに対してたのか、それともまた別の事に対してなのか…。それはユウリにしか分かりません。

その日の夜、リフィル王妃はユウリを呼び寄せました。ユウリは一体何故呼び寄せられたのか分かりませんでした。

お部屋につくと、真剣そうな顔をしているリフィル王妃に、ユウリは逃げ出したくなりました。

直ぐにリフィル王妃は

リフィル「ユウリさん。座ってください。」

ユウリ「いえ…。あ。はい。…。」

今まで見たことがないような面立ちに恐怖心さえ覚えてしまい。背筋が凍えるような思いをしているユウリ。

黄緑のお部屋に似合わぬ沈黙の時間と緊張した場面。

不意にリフィル王妃は言いました。

リフィル「ユウリさん。あの方を次回もお招きするのはよしなさい。」

ユウリ「何故ですか!!?」

リフィル「あなたのためよ。」

ユウリ「意味が分かりません。持ってきていただくくらい良いではないですか。。。」

リフィル「この国は、禁止されているの。分かってるわよね。?」

ユウリ「…。」

リフィル「だからこそ、あなたのためよ。」

リフィル「それに、傷つくのは、あの人でも誰でもない。あなただから。」

図星を付かれてしまったユウリ。ユウリは好きになってしまったんですね。あの方の事を。

もしかしたら、前世では一緒になっていたもの同士だったのかも?しれませんね。ですが、この国では、叶うことはない願い。そして、相手は家族がいる。それを壊してまでも奪える勇気はユウリはありません。それが現実ですね。

お話の続きを見ていきましょう。

再びしばらく沈黙の時間が続き。

ユウリ「わかりました。ここにはお招きしません。」

リフィル「いい子です。それでこそリフィル族の血を引くものですね。」

ユウリ「ですが!」

リフィル「はい?」

ユウリ「私は会いに行きます。例え家族がいても。構いません。一番でなくてもいいです。それがあの人の幸せなら。!側にいれるなら!私は王になるつもりはありませんから!性別なんて大嫌いです!!私は雄じゃない!!」

リフィル「ユウリ…。」

ユウリ「抜け出しができなくなってしまったら手紙ででも、意地ででも、最後までも、傷ついても、私はただ、」

リフィル「もういいわ…。大丈夫…。落ち着いて」

感情的になってしまったユウリさん。ひとめぼれ。というものなんでしょうか?しかし、次期皇帝という大きな看板を背負っている状態の者がしきたりを破るということが一体どういうことか。。ゲリュス王との仲も一体どうするんでしょうね?


【派閥と追想。】


いつもの朝食。王族の朝食とはいえ、ユウリはあまり大量には食べないのでパン1片にいつもの絞りたてのオレンジジュース、それにイチゴを数個というとても少ない量です。

ゲリュスからはもっと沢山食べろ、雄としての自覚が足りないとさんざん言われています。

ふとゲリュス王は、ユウリに言いました。

ゲリュス「昨日リフィルと何をしていた」

ユウリ「遣いの者を勝手に入れてはいけないと叱られました。」

ゲリュス「そうか。そのあとは、お前は雄は嫌だと言っていなかったか?」

ユウリ「…。いいえ。」

ゲリュス「それならよい皇帝になるものがそんなこと言うはずないとは思っていた。聞き間違いか。夜中に怒鳴るでない。雄としては立派だが、凛々しさはもう少し逞しさもつけるべきだぞ。そんな雌の食べるような物ばかり食べるようではいかんぞ?わかったな。」

ユウリ「………………。はい。」

ユウリ「時間なので、学校に行って来ます。」

ゲリュス「ちゃんと勉学に励むんだぞ?怠けるでないぞ?あと来ますではなく参りますだろう」

ユウリ「はい…。すいません。」

いつもの通学路。砂利道をザクザク音を立てながら歩く。だけど。楽しくない。この国はうるさい。私の好きなように生きさせて。皇帝何てなりたくない。私はただ。好きな人の側にいたい。ただそれだけなの。それだけなの。なのに…。

ばしゃん!!

冷たい。水溜まり。こんなところにあったっけ。濁ってる。ああ。そっか。昨日雨が降ったんだよね。

私の一番好きな人。シンクさん…。どうして。どうして…。

どうして…。側にいたいだけなのに。

またいつもの川。大きな橋の真ん中で川を眺めている。

今日はサボろう。

今日は砂利道と同じような色をしている。この間のようなclearじゃない。

直ぐに濁っちゃう。川は透き通ったり濁ったり色とりどり。

「あれ?どうしたんだい?」

ユウリ「え?…」

振り向くとそこには、シンクがいました。ユウリは泣き崩れました。シンクは困惑しました。

シンク「え?なになに?俺がなにかどうかしたのか?」

ユウリ「ごめんなさい…!でも…!」

シンク「でも?」

ユウリ「言えません…。」

シンクは困惑しましたが、事態を呑み込んだのか、ユウリを抱き締めました。そして、悟しました。

シンク「何があったか分からないけど、大丈夫。何も悪くないよ。とっても優しい子だなユウリくんは。」

とっさにユウリは、「くんは嫌だ!!」と怒鳴ってしまいました。それに反応するかのように周囲の風はとても強くなりました。

シンクは、ようやく大体の事がその一言で理解ができたのか、「なるほどね。そういうことだったのかい。」と一言だけポツリと呟きました。

シンク「分かった。じゃあ、ユウリ?しばらく泣いていいよ。俺時間あるからさ思う存分泣いちゃいな?苦しかっただろ?」

ユウリ「でも、泣くなって。」

シンク「俺が見えないようにしとくから、大丈夫だよ。それにそんな古い考えなんて要らないさ」

沢山泣いた。大好きな大好きなシンクさんの側で。

シンクさん。どこ。

どこにいったの。

これは。過去なの。?そうだ。これは。過去だ。。

追想してるんだ。私は。。

その頃。学校では。ユウリさんが登校してこないと大騒ぎになり、当然王にも連絡が行き、ご立腹。。リフィル王妃も心配をしていました。

ユウリさんは学校には居場所はなくなっていたんです。何故かって、?

世界が違うから。ですよ♪ 生きていける。孤独への道を歩み始めていました。

この頃からユウリさん自体の力も本人が気づいてないだけで、少しずつ蓄積されていました。

ユウリは帰宅すると。まず。ゲリュス王からとてもいたい体罰が浴びせられます。当然迷惑を懸けたので当たり前の事ですね…。

ユウリはそれから、隠れてシンクさんと度々会うようになりました。しかし、それは、シンクさんを追い詰めていることになっていたのです。

シンクさんは家族がいました。仕事もしていて、いくら皇帝相手とはいえ、度々会うようになると、家族との時間が削られるかもしれない。そして、実はシンクさんは重い病を患っていたのです。家族からは働けと。医者からは止めろと。その板挟みの中で、ユウリさんが入ってしまった。厄になってしまったんでしょうね。ですが、シンクさんはとてもユウリさんといるときは幸せそうにしていました。それはそうです。

大事に思っている人にこそ本音は、いえないもの。シンクさんは。そういう存在でした。

自分のために生きるより、ユウリさんと会う時間、そして子供達に尽くせる時間を選んだんです。

…………………ある日………………………

1通の手紙

ユウリ「誰からだろう?」

裏を返すと、シンクさんからでした。手紙?どうしたんだろう。するとユウリはなにか感じました。

ユウリ「まさか…。」

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お元気ですか?

初めて会ったときの事を覚えてるかな?

あの時は本当にありがとうね

出会えて本当に嬉しかったよ。

もう頑張るのに疲れたんだ。本当にごめんね。

何回も励ましてくれたりしてくれてありがとう。

でももうごめんね。最後に君にはメッセージを送るよ。

こんな形のお別れになってしまってごめんね。

どうか自分を責めないでほしい。

ユウリさん。 シンク

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それはお別れのメッセージでした。シンクさんは自殺でした。

病で亡くなる前にご自分で命を絶たれたようです。

本当にあの年のユウリさんにはお気の毒のメッセージですね。

一体どうなっていくんでしょう。ユウリさん。